未経験から電気工事士として働くことは、十分に可能です。
ただし電気工事士の資格を取得しておくことで、企業側に対して意欲をアピールできるだけでなく、実務にもスムーズに取り組めることでしょう。
当記事では電気工事士として働く魅力や将来性、資格取得に向けての概要について解説していきます。
電気工事士として手に職をつける魅力
電気工事士としてキャリアを築き上げていくことで、様々なメリットを感じられることでしょう。具体的に電気工事士として手に職つける魅力を紹介していきます。
高いニーズとキャリアステップが期待できる
電気は生活の至るところで活用されており、電気設備の新規設置や保守・メンテナンス業務は、今後も必ず発生する業務です。あらゆる新築の建物やリフォーム工事などにおいて、電気工事士のニーズは存在するといえます。
また電気工事士は今後人材不足に陥る可能性が非常に高く、あらゆる現場において必要とされる場面が増えるといえます。実務経験を積んで手に職つけることで、電気工事に関する様々な資格を取得したり、注目度の高い業界に転職したり、独立を目指したりする選択肢が生まれていくことでしょう。
就職・転職活動における電気工事士資格の強み
電気工事士は資格を取得していなくても求人に応募することが可能です。しかし電気工事士の資格を取得することで、企業側に意欲をアピールすることができます。
業界職種未経験であっても、資格を保有していれば採用される可能性が高まります。更に資格取得を通して事前知識を把握できるため、確実に実務をこなしていけるようになるでしょう。
転職活動においては、電気工事施工管理技士や第三種電気主任技術者など、各々のキャリア志向に合わせた資格を取得するのも有効です。実務経験と資格取得を組み合わせて手に職つけることで、希少性の高い人材へと成長することが可能となります。
電気工事士として活躍できる幅広い職種
電気工事士は、一般住宅や小規模店舗・事務所・家庭用太陽発電設備だけでなく、工場・ビル・病院・大型商業施設・高圧送配電線路といた、規模が大きい設備の電気工事に携わることができます。
電気配線や電気器具などの設備工事や配線工事に加えて、電線の接続作業や配電盤の取り付け作業といった大掛かりな業務に取り組むことで、業務の幅も広がります。
第二種電気工事士・第一種電気工事士の双方を取得することで、携われる現場や案件が増えていき、実務経験も向上させて手に職つけるという好循環が生まれるでしょう。
電気工事士資格の種類と取得方法
電気工事士資格の種類と資格の取得方法について解説していきます。
各種電気工事士資格の概要と特徴
電気工事士とは、電気設備の工事・取扱の際に必要な国家資格です。電気工事士は第一種と第二種に分類されており、従事できる工事の範囲が異なります。
第二種は一般用電気工作物のみとなり小規模な工事に限られますが、第一種は一般用電気工作物および500kW未満の自家用電気工作物に従事できます。つまり、難易度としては第一種のほうが第二種よりも合格に向けての難易度が高いのが特徴です。
資格取得に向けた勉強方法と試験対策
電気工事士は学科試験と技能試験で構成されており、各々の出題範囲や傾向を知ることが大切です。
出題元である「一般財団法人 電気技術試験センター」にて学科試験のポイントが公開されているので、まずはそちらを参照してみましょう。
また技能試験は候補問題が公開されているため、事前対策をしっかりと行うことができます。こちらも合わせて、目を通しておくようにしましょう。
独学での取得が可能? 効率的な受験対策を解説
電気工事士の資格取得は独学でも十分に可能です。独学で最も重要なのは、試験当日までに向けてのスケジュール管理です。試験まで余裕を持ちながら、着実に学習時間を確保できるよう、スキマ時間などを活用してみてください。
また電気工事士の試験では、過去に出題された問題が再び出題されることも珍しく有りません。問題構成や出題傾向を知ることで、本番を見据えた学習を行うようにしましょう。
また技能試験を独学で対策するにあたっては、YouTubeなどを活用しながら、実際に手を動かしてみることが大切です。
電気工事士として活躍するためのスキルと知識
電気工事士として活躍するためには、様々なスキルや知識を習得しなければなりません。実務経験を積んでいくことで、スキルセットとして評価されるようになり、周りからの評価されるようになるでしょう。
工事現場で求められる基本的な作業スキル
基本的な作業スキルとして、細かい作業に抵抗感なく取り組めるというのが大切になります。工事現場では多くの電線が存在しており、配線を行う際には細心の注意を払わなければなりません。線や部品の1つ1つに対して細かな気配りができる能力が問われます。
またチームで作業するための協調性も大切です。現場では複数人にて作業を行うことが基本であるため、連携が取れていないと作業効率も低下してしまいます。コミュニケーションが不足することで、事故を誘発するリスクも上昇してしまうでしょう。
電気工事士なら知っておきたい配線・設備の基礎知識
電気工事士の仕事に従事するうえで、最低限知っておきたい配線・設備の基礎知識について解説します。
建物の内部には様々な電気設備が設置されています。その中でも、どの建物にも存在する電気設備とその役割についてご紹介します。
コンセント
そもそも電気とは、屋外に張り巡らされている送電線を経由して送られてきたものを、屋内まで配線を敷くことで使用できるようになります。しかし屋内で配線を整えるだけでは、電気を使用できません。そこでコンセントを設置し、電化製品を接続することで、電気を安全に使用できるようになります。
分電盤
分電盤とは配電盤によって送られてきた電気をコンセントや照明など各器具に送る装置のことです。電気を小分けにして使えるようにするために設置されます。大型施設だけでなく、各家庭にも設置されています。家庭でいえばブレーカーが該当します。
アース(接地)
アースとは、地面に電気が流れるようにすることです。万が一漏電が発生しても、電気を地面に逃してくれることから、感電防止に役立ちます。アースが施される設備として、電気設備(電力、信号、通信、無線等)と避雷設備(避雷針、架空地線等)が挙げられます。
安全に作業を行うための注意点と対策
電気工事の作業を行う上で、安全対策が最も重要となります。代表的な対策方法について解説していきます。
通行人への注意
電気工事を行う場所では、通行人にも注意を払わなければなりません。工事範囲を明確にした上で、通行人に対して警告を行うようにしましょう。交通誘導員を配置するなど、通行上の配慮も重要です
絶縁工具の使用
電気工事において、感電による事故は絶対に避けなければなりません。絶縁工具を使用することで、電気ショックを防ぐことにつながります。作業ごとに適切な絶縁工具を使用するようにしましょう。
保護具の着用
保護具の使用は労働安全規則においても定められていることから、必ず遵守するようにしましょう。感電事故は保護具の着脱時に発生していることも多く、ゴーグルや手袋を外す際には、工事現場から距離を置くことが対策となります。
電気工事士資格以外の関連資格・スキルアップ
第二種電気工事士・第一種電気工事士の資格を取得した後でも、電気工事士に関連する様々な資格を取得することで、スキルアップやキャリアアップにつなげることができます。
電気工事業界で役立つ関連資格一覧
電気工事業界で役立つ関連資格を、一覧として下記にまとめています。
- 電気工事施工管理技士
- 第三種電気主任技術者
- 電気通信主任技術者
- 電気通信の工事担任者
- 認定電気工事従事者
- 消防設備士甲種4種
- エネルギー管理士
資格は自らの技術や知識を証明できるものであり、資格の数が多いほど実力を認められやすいものです。興味がある資格があれば、積極的に挑戦してみてください。
資格取得を助けるサポートサービス・学習教材の利用
独学での資格取得に不安を感じる場合、通信講座を活用してみるのも有効です。
合格実績が豊富で、資格取得のプロによる充実のサポートを受けられるのが大きなメリットとなります。学習教材もイラスト付きの図解が用いられているなど、直感的に理解しやすい構成となっています。
独学に比べると費用は高額ですが、資格取得を通して就職や転職の機会が広がるため、長期的なキャリアにおいてはメリットが大きいです。
電気工事士の資格取得を踏まえた今後のキャリア展望
電気工事士の資格を取得した後は、どのようなキャリアを形成していけるのでしょうか。今後の電気工事士の展望と合わせて解説していきます。
電気工事士としての働き方とキャリアアップの道
第二種電気工事士の資格を取得できると、未経験でも仕事を得やすくなる可能性が格段に高まります。最初は工具の名前や使い方を覚えるところから始まり、徐々に実績を積み重ねていくことで、一人前の電気工事士として認められるようになります。
更に経験を積み重ねることで、責任のある役職に就くことも可能になるでしょう。社内での昇進を目指すことで給料アップを目指すことができます。また転職活動を通して、待遇面を向上させる選択肢も生まれます。
また独立して一人親方という形で活動する選択肢も、難易度の高い資格を取得して更に市場価値を上昇させていく選択肢もあります。仕事を通して人生を豊かに出来るのが電気工事士の魅力です。
未経験から始める30代・40代の電気工事士への挑戦
電気工事士は今後も人手不足の状況が続くため、未経験であっても30代・40代からキャリアをスタートさせることが可能です。
30代・未経験から電気工事士として働いている人は、飲食・販売・向上・物流・IT・営業など、様々な経歴の持ち主が存在しています。電気工事士は、どのような人であっても未来に向けての可能性が開かれている仕事なのです。
40代・未経験でも一定数の求人は見受けられます。ただし電気工事士は体力仕事であることから、体力面に自信があることをアピールすることが大切となります。また自分より年齢が低い相手であっても、快活にコミュニケーションを取れる能力も重要です。